イベント情報

子ども料理科学教室
第6回 醗酵という魔法 ~小さな生き物(微生物)の大きな力をさぐる~

日時 2015年08月09日(日)  10:00~12:00
場所 女性総合センター アイム料理実習室
東京都立川市曙町2-36-2 (JR立川駅北口徒歩5分)
対象 小学4年~中学3年生(小学3年以下と高校生は応相談)
参加費 子ども 500円  ※いずれも会場でお支払ください
持ち物 エプロン、三角巾(バンダナやキャップ)、タオル(ハンカチ)、筆記用具
主催 NPO法人市民科学研究室  http://www.shiminkagaku.org/
NPO法人ポラン広場東京
申込み 案内チラシ配布の店舗、ポラン広場の宅配窓口、またはポラン広場東京事務局に以下の事項を添えてお申込みください
参加者氏名(ふりがな)/学年・年齢/保護者氏名(ふりがな/参観の有無)/住所/TEL/mail
※お知らせいただいた個人情報は、厳重に管理し、当プログラムに関係する手続きのみに使用します
問合せ NPO法人ポラン広場東京 事務局 (担当:佐藤)
〒198-0052 東京都青梅市長淵 4-393-11
0428-22-6821 (受付時間平日09:00~17:00)
office@polano.org

地球上で一番小さな生き物ってなんでしょう? ~醗酵という魔法~

酢、醤油、味噌、味醂などの調味料や納豆、鰹節。毎日私たちが食べているものの中には醗酵の恩恵を受けたものがたくさんあります。それらの食べ物をきっかけに、身近な微生物の存在について、クイズや実験、調理実習を通じて地球上で一番小さな小さな生き物(微生物)の大きな力を探っていきます

まずは上田先生から質問です
「パンのかびとチーズのかび、違いがわかる人ー」
「パンのほうは食べたらお腹をこわす。チーズのほうは大丈夫。」
「そうですね。牛乳は腐るととんでもなく臭くなってお腹をこわす、それも危険なくらいに。ところが同じように菌が食物を食べて変化させるのでも醗酵は人間が食べても大丈夫。例えば、漬物、チーズ、魚の干物など。」

醗酵ではとってもちいさな生物「微生物」が活躍しているけれど、病気をおこす微生物もいる。人間もお腹の中に腸内細菌という、たくさんの種類のたくさんの菌がいて、ウンチも1/3くらいは微生物なんですって!
食べたカスだけだと思っていたのにびっくりです
はしかのウィルスや大腸菌(O-157)など病気をおこす菌の顕微鏡写真を見ながら、髪の毛1本と比べてこれらの菌がどのくらい小さいかも学びました

クイズ ヨーグルトはどうやって作るのか?

「ヨーグルトってどうやって作るか知ってる人、あるいは作ったことある人、手あげてみて」
はーい!「牛乳にヨーグルトを混ぜてそのまま置きます」
「正解です。では、これから少し時間は足りないと思いますがヨーグルトと甘酒を作ってみましょう」と先生
「乳酸菌が働いて牛乳はヨーグルトに変化します。乳酸はpH2.0とか2.5などの強酸性だから強い殺菌力があり、40~50度くらいを好むが100度になっても死なないし、酸素はあっても無くても生きられるんです。甘酒を作る時に入れるこうじ菌もカビ類の一種です」
麹菌は古くからある日本の国菌で、甘酒だけでなく、味噌やお酒を造るのに欠かせない存在です。デンプンを分解して、ブドウ糖や果糖類にして小さい食べやすい糖をたくさん作ります。25~30度で活発になるが、45~50度になると菌は死んでしまいます。ところが、菌は死ぬけれど、酵素だけは働き続けて糖化作用はどんどん続きます

パンを作る

<材料>
小麦粉…150g(強力粉)
砂糖…10g(大さじ1)
塩…3g(小さじ1/2)
パン用酵母…3g
温湯…100g(体温くらいを100cc)

<作り方>
1.小麦粉、砂糖、塩、をボウルに入れて混ぜ、真ん中にくぼみを作ってパン用酵母を入れる
2.パン用酵母を入れたところにお湯を入れてこねていく
3.こねて丸くまとめたらボウルにラップをかけて30分ほどねかせる
4.30分寝かせたら成形し、200度にしておいたオーブンで15分焼いてできあがり

-実験-
1.)パン用酵母を入れないでこねる→寝かせる→焼く
2.)通常にこねて、醗酵時間をとらずにすぐに焼く
3.)温湯の代わりに熱湯でこねる→寝かせる→焼く
4.)通常にこねる→冷蔵庫で寝かせる→焼く

クイズ 微生物が働いてできる食べ物はどれ?

パン生地を寝かせている間にクイズに挑戦しました

醤油、レモン、塩、煮豆、ビール、白カビチーズ、味噌、スポンジケーキ、きな粉、みりん、麦茶、酢、納豆、鰹節。この中から醗酵食品と思うものをあげていきます。そして、細菌の働きでできるもの・カビの働きでできるもの・酵母の働きでできるもの、と分類します
上田先生が「全問正解者には賞品を出します!」と言いきるほど、これまで全問正解者が出ていない意外と難しい問題ですが…
ところが、なんと今回は全問正解者が!! 次回上田先生から賞品が贈呈されることになりました!

顕微鏡で見てみよう!

生地を寝かせている間に、前回宿題になっていた酵母液作りの結果も発表。みなさん、思い思いの材料で作ったものを持ち寄りました。デイツ、河内晩柑、パイナップル、ぶどうetc.
フタを開けるとプシューッ、シュワシュワ…とあわ立ちました。炭酸のジュースみたいです
持ち寄った酵母液を電子顕微鏡で見てみます
上田先生がセッティングしてくれた電子顕微鏡からパソコンを通してプロジェクターに拡大して酵母菌を見てみます
ピントがあって丸い酵母菌が見えると子ども達も椅子から前のめり気味に。酵母がちょろちょろ動いている様子が見えます。「酵母菌も生きています。こうしているうちにも、分裂して2個になる酵母菌もあるかもしれないよ」と上田先生
スクリーンから目が離せません
自家製酵母液もよく醗酵したものならパン作りに使えます。時間も量も適宜、なのにほとんど失敗なく、朝こねるだけ、夜焼くだけとイーストで作るパンよりずっとお手軽!
オリーブオイルや果汁とあわせてドレッシングにしたり、塩とあわせて肉や魚の漬け汁にすると柔らかくジューシーな仕上がりになります

酵母も生きて呼吸している!?

酵母菌も生きていて、食べたものを糖に変えるために呼吸をしています。酵母液からシュワシュワでてきた炭酸は、酵母が酸素を吸って二酸化炭素を出した結果です
パンを焼いている間に、上田先生が用意してくれた機材で酵母が呼吸しているのを確かめる実験をしました
試験管にたまった気体を火のついたろうそくにかけると、二酸化炭素なら火が消えます。また、石灰水を入れて試験管の中で振れば石灰水が白くにごります。水の中から出した試験管で水滴が落ちてしまい、ろうそくの日は別の理由で消えてしまいましたが、石灰水は白くにごりました

ヨーグルトと甘酒の観察

ヨーグルトメーカーに入れてからはまだ1時間半程度ですが、牛乳とヨーグルトを混ぜて入れたもの、おかゆにこうじを混ぜて入れたもの、それぞれの様子を観察しました
「ちょっとまだゆるい感じだけれど、入れた時よりヨーグルトも甘酒もトロっとした感じでしょ」と上田先生
確かにヨーグルトメーカーにセットした時よりは、ヨーグルトや甘酒に近づいてきたような味や食感になっていました

パンの出来上がり結果の観察&試食

実験をしているうちに、パンが焼きあがりました
レシピどおりに作ったパンと実験1~4のパターンで作ったパン
切ってみて中を観察して、食べて確かめてみます
レシピ通りのパンはふっくら食べたことのあるできばえでした

実験1.)は一番焼き上がりが小さく、色も白い、中もパンらしい空気の穴がなくて切り口でみる生地の中はお餅みないな感じです
実験2.)は若干ふくらみが足りないようですが、大目に見ればパンという仕上がりに
実験3.)は普通のパンより小さく、中身がつまってふっくらした感じがありません。同じ時間焼いたのに色も白いままでした
実験4.)は見た目も食感もレシピどおりに作ったパンに一番近い感じです。中に空気の穴もありました

<結果>
・パン用酵母を入れないとふくらまない
・醗酵時間をとらないとふくらみが足りない
・熱湯でこねるとパン用酵母が死んでしまって醗酵時間をとってもふくらまない
・冷蔵庫で醗酵させると温度が低いので菌の活動が弱く、ふくらみも少ない

菌の活躍を、皆で観察したり、食べたりして確かめました。みなさん、家に帰ったら今日作ってきた酵母液をぜひ色々な料理に活用してみてください

第7回「ダシのヒミツをさぐる」は9/21(月・祝)です。美味しいと感じる「うま味」に迫る実験と調理実習です。次回も皆さんの参加をお待ちしています

講師紹介 上田 昌文(うえだ あきふみ)氏

市民科学研究室 代表理事
市民研は暮らしの中にある科学技術“リビングサイエンス”(=生活を基点にした科学技術)という概念を手がかりに、様々な角度から「生活者にとってよりよい科学技術とは」を考え、そのアイデアを実現していこうとしています。子ども料理科学教室は、市民科学研究室が開発した科学実験と料理の技の習得を結びつける、実験しながら料理を作ることで「なぜこの調理法でうまくいくのか」を五感で探求できる新しい食育プログラムです

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