今年から始まった「作り手と流通・販売・生活者がネットワーキングする生産地訪問」。８月２日、その２回目となる「ブルーベリー摘み体験」が栃木県佐野市にて開催されました。会場は国産有機ブルーベリー栽培の先駆、浜田農園です。日差しの強い朝の農園に生産・流通・販売・生活者が集まりました

風にも歴史がありました
この日はなんと、浜田農園からわずか20キロの館林市で38.2度を記録。農園も11時には35度を越えて、うだるような暑さです。そんな中ですから、浜田さんが準備してくださった冷え冷えのブルーベリーのウェルカムドリンクには全員大喜び。元気いっぱいになってブルーベリー摘みをスタートさせることができました
実は、浜田農園のブルーベリーの樹高は3mもあります。これなら背を屈める必要もなくて実を摘みやすいし、適度な木陰もできます。暑い中ですから汗もたくさんかきますが、額を拭って時おり木陰を通る風に涼を感じながら、収穫が進みます。たわわに実ったブルーベリー、甘い、酸っぱい、大きい、小さいを頬張りながら、袋も次第に重くなりました
園主の浜田倍男(ますお)さんは、かつてネパールやラオスの過疎の山村でリンゴを植える活動をしていたそうです。ブルーベリーとはリンゴの研究で通っていた果樹試験場で、運命の出会いを果たしました。70年代後半のことで、栽培する人はほとんどなし。ところが倍男さんはこのアメリカ「先住民の恵み」に面白さと深い魅力を感じ、いち早く国内での栽培に着手。改良が少ない野生的な品種から現代的な改良品種まで、試行錯誤を重ねて日本の気候風土に合う木に育ててきました。現在の3mもある、木陰のある農園風景には、木を植える男・浜田倍男さんの35年の歴史が刻まれているのです

あるがままの有機農業に
この日は、大学を出てすぐに就農した三男・迅（しゅん）さんと、今年から就農の次男・朝史（ともふみ）さんの2人も進行のお手伝い。2人は農園を歩きながら、受粉に使うニホンミツバチの話などを交え、実を摘みながら、おいしい実の選び方を教えてくれました。「ブルーベリーは時が来ると、ふっとね、おいしくなるんだよ」と語り、摘みごろにはまず最初に鳥たちが食べに来ちゃうという、倍男さんのお話。そこに虫やカエル、様々な生きものたち、あるがままの姿。大きい、小さい粒、どれもおいしい、自分で摘んだブルーベリーの姿、収穫の喜び。暑く短い時間でしたが、浜田さんご一家と同じ場所で時を共にしていて、自然とともにある有機農業本来の姿に、少しだけ触れたような気持ちになりました
お昼すぎ、暑かったブルーベリー摘みは無事に終了して、みなさん袋いっぱいの収穫を楽しむことができました。浜田家のブルーベリー収穫シーズンは今がピーク。8月末まで続きます

画像左から三男・迅(しゅん)さん、次男・朝史(ともふみ)さん、奥様の美枝子さん、浜田倍男(ますお)さん