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2011/05/28、NPO法人ポラン広場東京通常総会討議内容から原発震災関連について

原発震災について :地震学専門の地球科学者・石橋克彦氏が「原発震災-破滅を避けるために」『科学』(岩波書店) 1997年10月号掲載で提唱した概念。
大地震によって通常震災と原発災害とが複合・増幅し合う災害が発生し、地震動を感じなかった遠方にまで何世代にもわたって深刻な被害を及ぼすことを「原発震災/Quake and Nuke Disaster Complex」と名付けて警告し、原子力依存からの脱却を主張している。

2011/06/03

東日本大震災及び福島第一原発震災に関連するNPO法人ポラン広場東京の活動報告の後、参加者から現状の報告と今後の対策について討議が行われました。

現状報告は、概略以下の通りです。

(1) 農産物の生産地と食品の製造地について、原発震災関連の問合わせが多くなった
(2) 農産物について、生産地或いは作物についての放射性物質による汚染状況の問合わせが多くなった
(3) 加工食品について、原料素材等の生産地或いは放射性物質による汚染状況の問合わせが多くなった
(4) 風評被害がある
風評被害とは、「風評被害 そのメカニズムを考える (光文社新書)」の著者関谷直也氏による定義では、ある事件・事故・環境汚染・災害が大々的に報道されることによって、本来「安全」とされる食品・商品・土地を人々が危険視し、消費やその土地への移動をやめることなどによって引き起こされる経済的被害のこと。
おおよそ、「風評被害」は次のような過程を経る。
[1] 「人々は安全か危険かの判断がつかない」「人々が不安に思い商品を買わないだろう」と市場関係者・流通業者が想定した時点で、取引拒否・価格下落という経済的被害が成立する。
[2] 「経済的被害」「人々は安全か危険かの判断がつかない」「人々の悪評」を政治家・事業関係者、科学者・評論家、市場関係者が考える時点で「風評被害」が成立する。この時点でいわば「『人々の心理・消費行動』を想像することによる被害」である。
[3] 1.経済的被害、2.事業関係者・科学者・評論家・市場関係者の認識、3.街頭インタビューの「人々の悪評」などが報道されて社会的に認知された「風評被害」となる。
[4] 報道量の増大に伴い、多くの人々が「危険視」による「忌避」する消費行動をとる。事業関係者・市場関係者・流通業者の「想像上の『人々の心理・消費行動』」が実態に近づき、「風評被害」が実体化する。

原発震災対策の現状と今後については概略以下の通りです。

(1) 農産物と農耕地の放射性物質測定を自主検査で行い、今後も継続する
(2) 土壌から作物への放射性物質移行について、数値でとらえる必要がある
(3) 土壌から作物への放射性物質移行を減らす長期的対策を理性的に判断し行う必要がある
(4) 生産地・生産者及び製造地・製造者が主体的に放射性物質・放射線量関連情報やメッセージを発信する必要がある
(5) 「風評被害は智者で止まる」… 理性的な判断により、周囲の感情に流されず、互いが智者となれるように、生産製造者、流通販売者、消費者との間でコミュニケーションが大切である
(6) 社会における組織及び事業体は、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画) つまり、不測の事態に際しても活動と事業を継続するための計画を策定し実行する必要がある

また別に、
有機認証制度で放射性物質汚染をどのように規定するのかが不明であることも意見としてありました。
(事務局の補足として) 有機認証制度は有機農産物の生産の原則として、農業の自然循環機能の維持増進を図るため、化学的合成肥料及び農薬使用を避けることを基本として、土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させるとともに、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した栽培管理方法を採用した農耕地において生産されることとしています。生産者が放射性物質による汚染を行ったものではない以上、生産原則に反するものではないと言えます。しかし、慣行栽培耕作地からの農薬飛散防止や農業用水の汚染防止と同様の考えもあり得ます。一般消費者の食の安全性を考える選択に著しい支障を生ずるおそれがでた場合には、注意する必要はあると考えます。

最後に、
(1) 健康な大人、疾病加療者、妊産婦、そして、放射線への感受性が高いとされる乳幼児から10歳くらいまでの子供と、対象を区分してきめ細かな原発震災対応をする必要があることを確認しました
(2) 東日本大震災に伴う原発震災によってもたらされた様々な課題や難しい判断を、総会の各参加者が今後も持続して考え行動して行くために、総会参加者の総意で、NPO法人として「NUKE FREE・非核」宣言をおこなうことを確認しました

今回のフクシマ原発震災をとらえるに際して、ヒロシマ・ナガサキの被曝、ミナマタの汚染、そして、そこで生じた生態環境の破壊と人間の尊厳への冒涜まで視野を拡げ、歴史的課題と今日的課題とが共通した解決できていないものであることを明らかにした宣言をこさえよう
私達は、地球の家を保ち、大地に膝をつき、大きな息をするために 「NUKE FREE・非核」宣言をする

2011年5月28日
NPO法人ポラン広場東京
通常総会参加者一同

NUKE FREE・非核 宣言

2011年5月28日
NPO法人ポラン広場東京

私達は、
生態環境及び人間生存環境への負荷を軽減する食と暮らしを考えることにより、それらの環境の保全と地域社会の発展に寄与することを目的としてきた

今、
3.11 東日本大震災に伴う原発震災により、暴走する核エネルギーは、生態環境の破壊と人間生存環境及び地域社会に破壊的状況を生みだしている

私達は、
有機的な生産と生活様式を基にした持続的な世界を目指して活動してきたものとして、自然と人間の尊厳を脅かすものを明確に拒否する

私達は、
「核エネルギー」発電所の建造と稼働を拒否する

私達は、
「核エネルギー」兵器の製造と使用を拒否する

ヒロシマ・ナガサキを知る私達は、
フクシマで被曝を体験し、人間の尊厳が脅かされるに至ったことに憤怒する

ミナマタを知る私達は、
フクシマで汚染を体験し、自然と人間の尊厳が脅かされるに至ったことに憤怒する

私達は、
自然と人間の尊厳に深く思いを込め、ここに「NUKE FREE・非核」宣言をする

世界人権宣言(別窓で)

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